2025/04/15 15:00
浜直農園は鹿児島県垂水市のサツマイモ農家(紅はるか)です。
脱サラして、2018年から、つらさげ芋を作りたいと思って始めた、新規就農者です。
それまでは、農業とはほぼ無縁でした。
知識・経験なしから始まって、たくさん失敗してきました。
それでも、だんだん基本のやることが、わかってきました。
ぜひ、さつまいも農家の一年がどんなものか、わかっていただけたら嬉しいです。

●一年の大まかなスケジュール
・春(3~5月)は、苗づくりや、苗の植え付けに関する仕事がメインになります。
【浜直農園の畑仕事記】春(3~5月)のさつまいも農家の畑仕事 ~苗づくり~
【浜直農園の畑仕事記】春(3~5月)のさつまいも農家の畑仕事 ~苗植え~
・夏(6~8月)は、植えたサツマイモ苗が、しっかり大きくなるように管理します。
・秋(9~11月)は、いよいよ収穫です。つらさげ芋づくりも、この時期に行います。
・冬(12~2月)は、翌年また良いお芋が収穫できるよう、土づくりを行います。
【浜直農園の畑仕事記】冬(12~2月)のさつまいも農家の畑仕事
今回は夏の畑仕事の中でも、苗植えについて、ご紹介します。
●植えたら、おしまいではない
「さつまいもの栽培は、手がかからない」と、聞いたことがある人もいるかもしれません。
苗さえ植えていれば、勝手に育つというイメージが強いと思います。
私も実際にそうでした。
しかし、年々やるにつれて、そういうわけでもないと、思うようになってきました。
ただ、植えるだけだと、良いサツマイモに育ちません。
ほったらかしだと、食べごろの大きな芋も育ちません。
いや、育つんですが、穫れる量が少ないです。
たくさん美味しい焼き芋をお届けしようと思うと、ある程度の量も必要です。
良くしようと思えば思うほど、手がかかると痛感している現在です。
愛情が大事です。
●夏に管理すること①
管理すべきことの一つ目は、病気対策です。
特に2020年頃から「基腐病」という、いもを腐らす厄介な病気が流行っています。
しかもこの病気は、まわりの苗にも感染していきますので、早期に対応しなければ最悪な結果を生みます。
農薬などを散布することなど、いろいろな対策が、農水省などから推進されています。
しかし、なかなか抜本的な対策となっているとは、いいがたいと思います。
実際に私も推奨されている、農薬など散布しましたが、やはり完全除去には至りませんでした。
一番有効だと思ったのが、早期発見、早期除去です。
畑を見渡して、おかしいなという株を見つけて、根から葉っぱまですべて、畑外に持ち出します。
これだと、被害が最小限に済みます。
病気が出るのは仕方ないという割り切りと、早めの感染防止が重要と考えます。
ですので、定期的に畑を見回るようにしています。

(基腐病に侵された株↑↑)
●夏に管理すること②
二つ目の管理すべきことは、雑草対策です。
畑において、野菜と雑草は栄養を取り合うライバルです。
さつまいもも、雑草に負けないように育てなければなりません。
作業としては、除草剤を撒いたり、草刈りをしたりという単純な対策です。
どちらが先に成長するかの争いですが、とにかく雑草の夏の成長力は半端ないです。
そのため、特に夏場は草刈りを頻繁にしなければなりません。
一度、草刈りが追いつかなくなり、雑草に負けた年がありました。
その年の収量は激減しました。
穫れた芋も、小芋や細芋の割合が多かったです。
とても痛い目に遭いました。
それ以来は、この猛暑で倒れそうななりますが、真夏でも頻繁に草刈りをしています。
一年に一度の収穫で、ガックリするような取れ高になるのだけは、ご免です。

(雑草に負けたいもばたけ↑↑)
●夏に管理すること③
夏は植物以外にも、動物や虫も元気です。
こちらも気を抜くといけません。
まず、虫は、葉っぱをすごい勢いで食べる害虫がいます。
「実のところじゃないから良いじゃないか」と思うかもしれませんが、そうはいきません。
葉っぱがなくなると、光合成ができません。
エネルギーが足りず、実も大きくなりません。
そのため、虫が大量発生しないよう、気をつけなければなりません。
こちらも所定の農薬などを散布して、対応する必要があります。
大量発生すると、いもの生育に影響しますので、早期の対応が求められます。
動物はイノシシやアナグマが、浜直農園の畑をよく狙ってきます。
ワイヤーメッシュで囲われた畑ですが、隙を見つけては侵入しようとしてきます。
穴を掘ってこようとしたり、動物も一生懸命です。
忌避剤を撒いたり、穴を下まで掘れないよう棒などを差して、対応します。
これも、定期的に畑の見回りをしておくことが重要です。

(獣が穴を掘った跡↑↑)
●管理することとは
いろいろと管理することがありますが、やはり大切なのは愛情を持って手をかけることが、重要と考えます。
春にせっかく植えた芋苗が、秋には大きく実ったものになっていることの喜びは、何物にも代えられません。
収量が激減したら、しばらく立ち直れません。
しかも、やり直しがきかないので、次の年までリベンジできません。
私もそんな経験をしてからは、とにかく畑を見回るということの重要性を痛感しています。
これからも愛情を持って育てていきたいと思います。

(秋の収穫↑↑)