浜直農園は鹿児島県垂水市のサツマイモ農家(紅はるか)です。
脱サラして、2018年より、正真正銘ド素人から始まった、新規就農者です。
それまでは、サラリーマンをしていて、農業とはほぼ無縁でした。
知識・経験なしで始まりましたが、だんだん基本のやることが、わかってきました。
ぜひ、さつまいも農家の一年がどんなものか、わかっていただけたら嬉しいです。
●一年の大まかなスケジュール
春(3~5月)は、苗づくりや、苗の植え付けに関する仕事がメインになります。
夏(6~8月)は、植えたサツマイモ苗が、しっかり大きくなるように管理します。
秋(9~11月)は、いよいよ収穫です。つらさげ芋づくりも、この時期に行います。
冬(12~2月)は、翌年また良いお芋が収穫できるよう、土づくりを行います。
【浜直農園の畑仕事記】冬(12~2月)のさつまいも農家の畑仕事
今回は春の畑仕事の中でも、苗づくりについて、ご紹介します。
●苗づくり
さつまいもを育てるためには、苗を植えないといけません。
そして、その植えるための苗を作らないと始まりません。
苗は種芋から、にょきにょき伸びてきたものを切って、植えていきます。
農家によってそれぞれですが、3月に入ると種芋の伏せこみを行います。
伏せこみというのは、前年収穫したさつまいもを土の中に埋めることです。
しばらくすると、伏せこんださつまいもから、芽が出てきます。
こうした苗を育てるところを、苗床といいます。
さつまいもの芽が出てきて育つには、寒さは禁物です。
特に、霜に当たらないよう気を付けなければなりません。
そのため、ビニールハウスや、ビニールトンネルによって、温度を高めに保つようにしなければなりません。

ちなみに浜直農園は、厳密に数えてはいないですが、数千個は埋めていると思います。
ビニールハウス、トンネルのどちらも経験しましたが、保温性、作業性を考えると、ビニールハウスの方がおすすめです。
ただ、ビニールハウスの方が、お金はかかりますので、そこを加味して選ばれた方がいいと思います。
●苗床の管理 ~強風に注意~
春は天気が荒れやすいです。
上空で暖気と寒気がぶつかり合うと、風も強くなり、厄介です。
ビニールハウス、トンネルのビニールがめくれたりします。
まだまだ未熟な私も、年に一回は必ず被害に遭っています。
めくれるどころか、吹き飛んでたこともあります。
修復にも時間がかかるので、結構面倒くさいです。
さらに、大きくめくれたままにしてると、種芋がカラスや獣たちの餌食になってしまうこともあります。
また、いもは寒さに弱いですので、霜に当たったりしないように注意しなければなりません。
特に風が強かった日の後は、しっかり確認したほうがいいです。

●苗床の管理 ~水分や栄養補給~
ビニールの中は、晴れの日などは特に熱いです。
日中は換気などもしたほうが良いです。
せっかく芽が出てきても、焼けたように枯れてしまうことがあります。
それくらい、熱いときもありますので、土の乾燥にも注意が必要です。
植物はやはり、水分があると、ぐっと元気になります。
適宜、水を撒いてあげなければ、成長が遅れてしまいます。
水分補給と一緒で、植物に必要な栄養も補給させることが重要です。
私は、苗を切り取り終わるまでに、数回追肥というかたちで、肥料をまきます。
栄養がしっかり行き届いていれば、一回切っても、また次の元気な苗が伸びてきます。
このように、畑に植えるまでに、気を付けることが、いくつかあります。
一つ一つは、大したことないかもしれませんが、手をかけてあげただけ、良い苗に育ってくれると思います。

●二ヶ月くらいしたら苗切り
3月に伏せこんだ種芋たちは、早ければ二週間くらいで、小さな目を出してくれます。
外気温や、地温などによると思うのですが、1ヶ月くらいかかることもあります。
いずれにしても、新芽が出てきていることを確認したときは、ホッとします。
芽が出ないことには、次の段階に移れません。
苗を植えることができませんので、とにかくホッとします。
その後、しっかり管理していれば2~3週間ほどで、畑に植えるのに適した長さになります。
長さ的には20~30㎝といったところです。
良い長さになったらハサミで切っていきます。
ここまでくれば、畑に植えることになります。
まだまだ弱い苗を、病気にかからないように消毒して植えるだけです。
●苗切りは何回も
苗を切るときは、あまり根元から切らない方がいいです。
なぜかというと、一つの種芋から、何回も繰り返し、苗を切っていくことができるからです。
苗の植え付けは、梅雨の終わりごろまで可能です。
なので、自分で苗を作っているさつまいも農家は、一つの種芋から何本も切って、植えられるだけ植えています。
苗には節があり、そこからまた、切って植えられる苗が伸びてきます。
そのため、一回目から、あまり根元を切らない方がよいでしょう。
二、三節を残して切ると、また新たな苗が伸びてきます。
それを使えば、二回、三回と苗を植えられるのです。
ホームセンターなどの高い苗を買うより、圧倒的にコスパがいいはずです。
ぜひ、たくさん植えて、たくさん収穫しましょう。
これらを考えながら、伏せこむ種芋の量などを考えていくことも重要です。
次は、畑に植え付けです。